ブックタイトル教育医学 J.Educ.Health Sci. 第64巻 第2号 通巻 第292号

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概要

教育医学 J.Educ.Health Sci. 第64巻 第2号 通巻 第292号

佐藤文音,神藤隆志,藤井啓介,北濃成樹,阿部巧,慎少帥,薛載勲,城寳佳也,藤井悠也,金美珍,大藏倫博ル(6サークル)の活動頻度は週1回,活動時間は90分,活動場所は公民館,体育館,交流センターであった.SSEサークルでは,挨拶や準備運動,SSE,整理運動,レクリエーションなどがおこなわれ,これらの運動プログラムの内容および時間は,後述のSSE教室とおおむね同じであった.しかし,SSEサークルでは,SSE教室では実施されていないお手玉を使った脳トレ運動あるいは歌唱,なぞなぞなどが月1回の頻度でおこなわれていた.また,教室では座位あるいは立位でおこなわれる準備,整理運動が,SSEサークルでは仰位でもおこなわれるなど運動の実践方法にも細かな相違がみられた.高齢ボランティアは,運動指導,回覧板や口コミによる参加者の勧誘,活動場所の確保,物品管理など,SSEサークルの運営に関わる全ての業務をおこない,彼女らの活動に市の職員,運動指導の専門家は参加しなかった.尚,ベースライン調査は,SSEサークルに入会してから1ヵ月以内,追跡調査はベースライン調査から10週間後に実施し,運動実践期間を教室群と統一した.3.SSE教室SSE教室は,笠間市の包括支援センターが主催し,健康運動指導士,作業療法士などの有資格者,運動指導に精通する研究者および大学院生によって運営された.髙戸ら24)は,運動指導やリハビリテーションの有資格者,運動器の機能向上に関する研究をおこなう者を運動指導の専門家と定義し,自治体主催の運動教室は,専門家によって開催されることが多いと報告している.笠間市でのSSE教室は,一般的な運動教室と同じく,専門家によって運営された教室といえる.SSE教室は,全11回(うち2回はベースライン,追跡調査)を1クールとして年3クールおこなわれた.開催時間は,運動プログラム90分,健康づくりに関する講話30分の計120分であった.運動プログラムは,挨拶,SSE,準備運動,レクリエーション,整理運動などから構成された.講話は,栄養や口腔機能,認知症,関節痛など,高齢期の健康に関するテーマで作業療法士や保健師がおこなった.4.SSESSEは,転倒予防,下肢機能を中心とした身体機能の向上を目的として開発されたステップ運動であり,実践時には25cm四方の升目を横に4個,縦に10個並べた専用のマットが使用される.SSEには「ステップパターン」と呼ばれるステップが196種類あり,実践者はステップパターンを覚え,そのステップをマット上で実践する.さらに,SSEには「前の升目の線を踏まない」,「1つの升目の中に両足を入れない」等の実践時のルール(5つの約束事)がある.このようにSSEは実践内容,ルールが明確に定められた運動であるため,実践者はこれらを理解すること,指導者は実践者の理解を促し,正しく実践するための指導を提供することが求められている.5.測定項目対象者の基本属性として年齢,身長,体重,body mass index,教育年数を調査した.下肢機能は,先行研究にならい26)開眼片足立ち時間(静的バランス能力),5回椅子立ち上がり時間(下肢筋力),timed up and go(起居移動動作能力),5 m通常歩行時間(歩行能力)の4つの身体パフォーマンステストを用いて評価した.出席率は,運動実践期間内にSSEサークルあるいはSSE教室に何回出席したか調査して算出した.また,サークル群の対象者が入会したSSEサークルについて,参加者数(高齢ボランティアと非ボランティアの人数),高齢ボランティアの年齢およびボランティアとしての活動年数,運動指導に関する資格取得状況を調査した.6.対象者のマッチング先述のサークル群(20名),教室群(78名)の分析対象者について,ベースラインにおける特徴を比較した.その結果,開眼片足立ち時間,5回椅子立ち上がり時間,出席率において有意な群間差が認められた(表1).本研究? 137 ?