ブックタイトル教育医学 J.Educ.Health Sci. 第64巻 第2号 通巻 第292号

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概要

教育医学 J.Educ.Health Sci. 第64巻 第2号 通巻 第292号

藤井かし子1.研究デザインⅣ.研究方法訪問看護ステーション利用の在宅高齢者の足観察と質問紙をもとにした聞き取り調査による量的記述的研究デザインである.2.対象者A訪問看護ステーションから調査の承諾を得た在宅高齢者70名を対象とし,著者が口頭と文書で説明と依頼を行い,最終的に同意が得られた55名を対象とした.寝たきりや認知機能が低下している者も含めたが,認知や身体上の理由で本人から同意が得られない場合は,家族に同様の説明を行い,家族から同意書を得た.3.データ収集期間2016年8月15日から2016年12月29日まで調査を行った.4.データ収集方法本研究の内容は,1)基礎疾患,内服薬,転倒などについての基本属性表,2)研究者による足部の観察についてのアセスメントシート,3)足の状態について対象者が感じていること,4)セルフケアの実態についての質問紙調査表で構成した.対象者の基本的属性及び転倒や活動の状況は,各項目の内容に沿って訪問看護ステーションが所有する利用者カルテや対象者または対象者家族への聞き取り調査からデータを得た.調査は在宅高齢者の自宅や入居している老人ホームやケアホームなどで行い調査時間は1人30分から45分を要したが,数回の訪問に分けて行ったため,1回の調査時間は15分程度である.5.調査内容基本属性及び転倒や活動に関する各調査項33,37)目の作成については,先行研究にある転倒アセスメント表を参考にして独自で作成し直した.1)基本属性としては,1性別,2年齢,3保険の種類,4要介護度,5過去1年間の転倒,6使用薬剤の種類,7既往,8感覚障害,9運動障害,10移動能力と歩行,11排泄行動の項目にわけた.2)客観的な足病変については,足病変の客観的評価で使用したアセスメントシートは先行研究をもとに筆者が作成した2,4,32).観察に加え,訪問での観察を再確認する目的でデジタルカメラにて足趾を含む前面の撮影を行った.踵に肥厚のある場合は後面の撮影も行った.足病変の客観的評価の項目は皮膚,爪,足の変形,神経障害,循環障害,背屈時の角度,足趾の開き具合,履物である.以下に詳細を述べる.皮膚:足の皮膚は乾燥,発赤,角質肥厚,皮膚脆弱,浮腫,皮膚白癬,潰瘍,水泡,胼胝,鶏眼,足趾間皮膚の状態,などを足底,踵,足趾の間も含め観察をした.触診をして痛みがある,または変色している場合は鶏眼とした.答えられないものは触診のみで行った.皮膚白癬は,趾間型,小水疱型,角質増殖型に分類されるため,足趾間の皮膚の状態にも着目した.皮膚白癬は,診断されているかどうか,または診断されてはいないが著者が白癬と予測するものに項目を分類した.ラミシールやクレナフィンなどの処方のある者は白癬の診断を受けているとみなした.皮膚が菲薄化している場合は皮膚に脆弱さがあるとみなした.爪:色,肥厚,爪白癬,巻き爪,末梢骨のともなう爪の変形,2枚爪,陥入爪,バチ状爪,匙爪,爪の委縮や欠損,深爪などのその他の爪変形を観察した.爪の厚さは小型定規で測定し2 mm以上を肥厚とした.また,慢性呼吸器疾患やリンパ浮腫では爪が黄色に変色することや,爪甲下の炎症になることもあるため,色にも着目し,爪疾患カラーアトラスに沿って評価した51).爪白癬は診断されて軟膏が処方になっているか否かで分類をした.足の変形:足部の変形は外反母趾,内反小趾,扁平足や開張足などを含めた足アーチの乱れ,足趾の変形を視診,触診で観察した.定義に沿って外反母趾,内反小趾,アーチの乱れ,足趾の変形について正常範囲から逸脱した状態を評価した19,20).足に麻痺があり床に着けない状態も足アーチの崩れとして評価した.神経障害:痛覚,触覚,温度覚を著者が実際に対象者の足に触れて評価をした.? 169 ?