ブックタイトル教育医学 J.Educ.Health Sci. 第64巻 第2号 通巻 第292号
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教育医学 J.Educ.Health Sci. 第64巻 第2号 通巻 第292号
樋田小百合,平澤園子,熊田ますみⅠ.はじめにわが国の少子高齢化は加速の一途をたど7)り,受診行動の推計患者数の年次推移では「65才以上が増加傾向にあり」といわれ,看護の対象に高齢者が占める割合は,今以上に増加していくことが予測される.高齢者が増える一方で,三世代同居の世帯は平成26年では6.9%6)と減少しており,核家族化が進み,認知症高齢者も年々増加している.認知症高齢者を主とした高齢者看護学実習において,看護学生(以下,学生)が「うまく聞き取れない」「反応がない」などコミュニケーションが2,3,8)実習中で困難であると先行研究より報告されている.また,加賀谷ら4)は学生が患者と向き合うとき,最初に直面することが「コミュニケーションが取れない,会話ができない,どう対応したらよいか分からない」など,不安や戸惑いを持つことが多いと述べている.若年者が高齢者と触れ合う機会が少ない状況をも考慮して学習環境を整えていく必要がある.高齢者看護学において,学生が臨地実習で対象に看護を提供するためには,看護の第一歩である情報収集の中で,生活史を含め対象の背景を知ることは重要な要素である.しかし,前述のように,高齢者と接する機会が乏しく,コミュニケーションの困難感を示す学生にとって,高齢者が生きてきた時代背景や生活様式の変化を含めた,人となりを理解すること自体困難である.本研究の目的は,学生に演習や実習後にアンケート調査を実施することによって,高齢者看護学実習における写真教材の活用目的と活用による効果を明らかにすることである.また,高齢者看護学実習における教育のあり方を検討するための基礎的資料を得たので報告する.1.対象者Ⅱ.研究方法対象者はA短期大学看護学科2年生72名.2.対象者の高齢者看護学の学習状況1年次後期に高齢者看護学概論,2年次前期に高齢者看護学活動論Ⅰを修了し,2年次後期に高齢者看護学活動論Ⅱの講義・演習のあと,高齢者看護学実習Ⅰである2週間の高齢者施設実習(介護老人福祉施設2施設・介護老人保健施設1施設のいずれか1箇所)を実施した.3.調査期間調査期間は,調査1は平成27年10月,調査2は平成27年12月~平成28年3月.4.調査方法・調査内容1)調査1学生が高齢者の生活史を理解すること及び高齢者とのコミュニケーションに活用する目的で,2年次後期に開講される高齢者看護学活動論Ⅱの演習において,写真教材の作成準備を行った.学生は,高齢者が生きてきた昭和初期から中期の人々の暮らしを題材にした10)モノクロの写真集(第7巻忙しい合間の娯楽,第8巻よみがえる暮らし,第9巻にぎやかだった祭り,第10巻思い出つまった生活)の中から1つ写真を選び,その内容について調べ学習を行い,レポートにまとめる課題を行った.さらに,個々の学生が事前学習したレポートを元に発表しながら意見交換を行い,情報共有する演習を実施した.演習終了後に,学生に対して「演習における学びと昭和の時代を題材にした写真教材を,実際の臨地実習でどのように活用していきたいか」について自由記述を問うた.2)調査2全学生が選んだ写真と事前学習したレポートを1冊に集めファイリングし,実習グループごとに活用するため,実習施設先へ写真教材を持参できるよう準備した.学生には,実習中いつでも写真教材を活用してよいことや情報収集やコミュニケーションに困ったときなどは,積極的に写真教材の活用を試みるように指導した.学生は,各グループ2冊ずつ写真教材を持参し,同一施設で2週間継続した高齢者施設実習を行った.実習では1人の利用者を受け持ち,看護過程の展開である情? 159 ?