ブックタイトル教育医学 J.Educ.Health Sci. 第63巻 第4号 通巻 第290号
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教育医学 J.Educ.Health Sci. 第63巻 第4号 通巻 第290号
林陵平,吉田拓矢,苅山靖た.一方で,Quickの試技では,各重量ともプル動作をできるだけ素早く全力で行い,キャッチ動作をできるだけ素早く行うように指示した.本研究では,プル動作からキャッチ動作までの一連の過程が達成できたことを成功の条件とし,各重量での試技を3回ずつ行わせた.成功試技の中から後述する地面反力の値が最も高かった試技を代表値として用いた.なお,疲労の影響を無くすために,試技間の休息は十分に確保した.3.測定項目および測定方法クリーン中の動作を3次元分析するために,光学式自動動作分析装置(Vicon MotionSystems社製, 250Hz)を用いて,各試技の身体各部位(47点)およびバーベルの左右側面(2点)に反射マーカーを貼付し,3次元座標データを収集した.静止座標系は,試技開始時の対象者前方に直交する方向をX軸,試技開始時の対象者前方をY軸,鉛直上向きをZ軸とする右手座標系と定義した.得られた身体各部の座標値は,座標成分ごとに最適遮断周波数18)をWells and Winterの方法にもとづいて決定し,Butterworth Low-Pass Digital Filterを用いて平滑化した.なお,決定された最適遮断周波数は7.5?15Hzの範囲であった.地面反力は,2枚のフォースプラットフォーム(Kistler社製,9287C)を用いて計測し,1,000Hzのサンプリング周波数でA/D変換した後,パーソナルコンピュータ(Abee社製,ASEnclosure 44OVT)に取り込んだ.4.算出項目地面反力は,後述する分析区間における2枚のフォースプラットフォームの合算力から算出し,得られた地面反力のデータを時間積分することによって,後述する各局面における力積を算出した.なお,下肢3関節におけるキネマティクスおよびキネティクスの各変数については,右脚を被験脚とした.身体に貼付した反射マーカーをもとにして,それぞれの関節角度および角速度を算出するために,下肢3関節における関節中心を算出した.足関節および膝関節については,それぞれの関節における内顆および外顆の中点,股関節については,臨床歩行分析研究会の提9)唱する推定法を用いて関節中心を算出した.関節角度については,後述するキャッチ局面開始時における角度からキャッチ局面終了時までの値を引いた値を屈曲量として算出した.また,関節角速度については,下肢の関節角度の変位を時間微分することによって算出した.このとき,関節角速度の正の値を伸展,負の値を屈曲と定義した.なお,これらの算出に用いた座標系は,苅山ほか6)の方法に準じた.試技中の下肢3関節の関節トルクを算出するために,下肢を足,膝および股関節で分割した3次元リンクセグメントモデルを構築した.また,Free Body Diagramにもとづき,後述するプル局面およびキャッチ局面において,各部分の近位端に作用する関節トルクを運動方程式により算出するとともに,関節トルクと関節角速度の内積を関節トルクパワーとして算出した.なお,各セグメントの重心1)や慣性モーメントの算出には阿江の身体部分慣性係数を用いた.5.分析局面およびデータの規格化・平均化本研究では,プル局面後,足部がフォースプラットフォームから一度離地し,再びフォースプラットフォームに接地する時点から,身体重心の最下降時点までをキャッチ局面と定義した.なお,分析の対象とした全ての試技において,バーベルプル後に足部がフォースプラットフォームから離地していることを鉛直成分の地面反力から確認した.6.統計処理各変数は平均値±標準偏差で示した.各変数における差の検定には2要因分散分析を用いた(試技条件×付加重量).交互作用の有無を確認し,交互作用が認められた場合には単純主効果の検定を行い,交互作用が認められなかった場合には主効果の検討を行った.それぞれにおいてF値が有意であると認められ? 297 ?