ブックタイトル教育医学 J.Educ.Health Sci. 第63巻 第4号 通巻 第290号
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教育医学 J.Educ.Health Sci. 第63巻 第4号 通巻 第290号
小栗和雄,内藤譲,春日晃章,渡邊丈芳p=0.58)と最大スピード局面(r=0.055,p=0.73)ともに有意な相関関係を示さなかった.年中児,年長児,成人において,加速局面と最大スピード局面の疾走速度の相関関係を検討した結果,全ての群において加速局面と最大スピード局面の疾走速度には強い正の相関関係(年中児r=0.863,年長児r=0.924,成人r=0.901,p<0.05)が認められた.また,加速局面と最大スピード局面の疾走速度の相関係数を3群間で比較した結果,相関係数に有意差は認められなかった(年中児と年長児p=0.34,年中児と成人成人p=0.67).p=0.61,年長児と年中児,年長児,成人を対象に,加速局面と最大スピード局面における疾走速度とピッチおよびストライドとの相関関係を検討した.その結果,疾走速度とストライドは,全ての群の両疾走局面において強い正の相関関係を示した(図1).他方,疾走速度とピッチは,全ての群の両疾走局面において有意な相関関係が認められなかった.また,各群において疾走速度とストライドの相関係数を加速局面と最大スピード局面の間で比較した結果,全ての群において両局面間の相関係数に有意差は認められなかった(年中児年長児p=0.76,成人p=0.74).Ⅳ.考察p=0.21,本研究では,幼児の25m走と成人の50m走を対象に,加速局面と最大スピード局面における疾走速度と身長,ピッチおよびストライドの関係性を検討し,幼児期における疾走能力の特性を明らかにすることを目的とした.まず本研究の対象幼児の疾走能力について,八木ら9)は,本研究と同じ年中男児61名と年長男児51名を対象に25m走を行い,年中男児の疾走速度3.97m/秒,ストライド93.7cm,ピッチ4.22歩/秒,年長男児の疾走速度4.52m/秒,ストライド105.1cm,ピッチ4.30歩/秒3)と報告している.宮丸も,月齢54?59ヶ月の男児10名の25m走の疾走タイム7.21秒,疾走速度3.76m/秒,ストライド89.7cm,ピッチ4.18歩/秒,月齢66?71ヶ月の男児8名の25m走の疾走タイム6.64秒,疾走速度3.97m/秒,ストライド97.4cm,ピッチ4.11歩/秒と報告している.これらの先行研究と本研究における疾走能力の各数値はほぼ同程度であることから,本研究の対象児は幼児期として一般的な水準の疾走能力を有するものと考えられた.加齢による疾走能力の向上について,本研究における年長児の疾走タイムは年中児に比べて有意に短く,疾走速度とストライドは有意に高かった.その一方,ピッチでは年中児と年長児の間に有意差は認められなかった(表1).有川ら1)は,小学1年生から6年生にかけて50m走の疾走タイムは漸減し,疾走速度とストライドが増大する一方,ピッチは減少したことを報告している.本研究の結果は有川ら1)と一致しており,幼児でも加齢とともにストライドが漸増し,ピッチは維持または減少しながら疾走タイムが短縮していくことが示唆された.基本的な疾走様式は,静止した状態から走り始め,加速し,最大疾走スピードに至った後にその速度が維持または減衰していく3).局面的な特徴としては,加速局面の速度が速いほど最大疾走スピードが速くなること,最大スピード局面の疾走スピードによって短距離走のパフォーマンスが決定することなどが挙げられる4,8).こうした疾走様式は,幼児期に著しい発達を遂げ,6歳頃までには基本的な形態が定着して成人型にかなり近くなるとされている3).しかし,これを換言すれば,6歳以前の幼児期では未だ基本的な疾走様式が定着していないものと考えられ,幼児期における疾走様式の変容や特性は大変に興味深い.本研究において,加速局面と最大スピード局面の疾走速度は,年中児,年長児,成人のいずれの群においても極めて強い正の相関関係を示し,3群間の相関係数にも有意差は認められなかった.また,全ての群において,疾走速度とストライドは加速局面より最大スピード局面の方が高い値を示し,ピッチは最大スピード局面の方が有意に低い値を示し? 337 ?