ブックタイトル教育医学 J.Educ.Health Sci. 第63巻 第4号 通巻 第290号

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概要

教育医学 J.Educ.Health Sci. 第63巻 第4号 通巻 第290号

小栗和雄,内藤譲,春日晃章,渡邊丈芳5 m先に保育者を立たせ,30m地点まで全速力で走れるように工夫・配慮した.光電管(竹井機器工業社製TKK5824)をスタート地点とゴール地点,さらに幼児は15m地点,成人は30m地点に設置し,短距離走とその加速局面のタイムを1/1000秒単位で測定した.最大スピード局面のタイムは,短距離走と加速局面のタイムの差で求めた.1人2回測定し,優れた方のタイムを採用した.それぞれの局面におけるタイムと疾走距離から疾走速度を求めた.スタートからゴールまでの走動作の撮影のために,走路の中間地点にハイスピードカメラ(CASIO社製EX-100PRO)を設置し,対象者の疾走試技全体が収録できるように三脚で固定した状態でパンニング撮影を行った.撮影速度は120frames/秒,露出時間は1/2000秒とした.カメラの映像で走者の位置を確認するために,走路両側の5 m毎の地点とカメラを結ぶ線上に目印となるコーンを設置した.各対象者の走動作の解析には,ビデオ動作解析システム(DKH社製FrameDIASⅡ)を用いた.加速局面と最大スピード局面におけるピッチ(歩/秒)とストライド(m/歩)を調べるため,加速局面の中間位置付近の4歩(後方にある脚の足の裏が地面から離れる一コマ前から数えて4歩進み後方にある脚の足の裏が地面から離れた瞬間の一コマまで)にかかった時間を求め,進んだ4歩に要した時間で除してピッチを算出した.ストライドはその区間の速度を計算し,その値をピッチで除することによって算出した.これらの作業を最大スピード局面(幼児:15?25m,成人:30?50m)でも同様に行い,ピッチ(歩/秒)とストライド(m/歩)を算出した.3.統計解析全ての値を平均値±標準偏差で示した.測定項目間の関係性を検討するために,Pearsonの積率相関係数を算出した.加速局面と最大スピード局面の疾走速度の相関係数を3群間で比較する,または疾走速度とストライドの相関係数を局面間で比較するために,相関係数の有意差検定を行った.2群間の差の検討には,測定項目間の関連性に応じて,対応のない,または対応のあるt検定を用いた.3群間の差の検定には,対応のない一元配置分散分析を用い,有意な差が認められた場合には多重比較(Tukey?Kramer法)を用いて各群間の比較を行った.本研究の統計学的な有意水準は全て5%未満とし,統計解析には統計解析ソフト(エクセル統計2010for Windows,株式会社社会情報サービス)を用いた.Ⅲ.結果表1に,加速局面と最大スピード局面における年中児,年長児,成人の疾走タイム,疾走速度,ピッチ,ストライドを示した.2つの局面ともに,年長児は年中児と比べて疾走タイムが有意に短く,疾走速度とストライドが有意に高い値を示した(p<0.05).しかし,ピッチは,2つの局面ともに年中児と年長児表1年中児,年長児,成人における疾走能力の特性測定項目疾走タイム(秒)疾走速度(m/秒)ピッチ(歩/秒)ストライド(m/歩)疾走局面加速最大スピードゴール加速最大スピード加速最大スピード加速最大スピード年中児平均値4.37 2.72†7.09 3.46 3.74†4.20 4.07†0.83 0.92†(21名)標準偏差0.41 0.37 0.76 0.31 0.47 0.30 0.29 0.08 0.12年長児平均値3.85 2.31†6.17 3.90 4.35†4.31 4.16†0.91 1.05†(22名)標準偏差0.19 0.19 0.38 0.20 0.37 0.36 0.29 0.07 0.09成人平均値4.29 2.40†6.70 7.01 8.35†4.65 4.47†1.51 1.87†(20名)標準偏差0.21 0.16 0.35 0.33 0.53 0.19 0.23 0.08 0.11分散分析* * * * * * * * *多重比較年中<年長年中<年長年中<年長年中<年長<成人年中<年長<成人年中・年長<成人年中・年長<成人年中<年長<成人年中<年長<成人加速:加速局面,最大スピード:最大スピード局面.*:p<0.05(年中児×年長児×成人),†:p<0.05(加速局面×最大スピード局面).? 335 ?