ブックタイトル教育医学 J.Educ.Health Sci.　第63巻　第3号　通巻 第289号

概要

教育医学 J.Educ.Health Sci.　第63巻　第3号　通巻 第289号

トップアスリートの行動と大学生競技者のスポーツ継続意図の関連作成するため，アスリートの態度・行動に関1,12,14)する先行研究および，Web調査において45名の対象者から得られた自由記述回答を基に調査項目の精選を行った．なお，Web調査は以下の手順で行った．Googleドライブを利用し，Web上で調査票を作成し，SNSを通じて拡散した．調査票は，「スポーツ実施者の意識に影響を与えるわが国のトップアスリートに関する行動」について自由回答形式で質問を実施した．質問文は「あなたが競技スポーツを実施・継続していく上で，わが国を代表するトップアスリートの行動・態度・言動・パーソナリティなどで，あなたの意識に影響を与えていることについて，思いつくだけ自由に回答してください」という文章を提示し，調査対象者には自由記述による回答を求めた．以上の情報を参考にスポーツ心理学に精通する研究者2名，スポーツマネジメントに精通する研究者1名の協力のもと，尺度項目の選定を行った結果，6因子各2項目の計12項目を暫定的なトップアスリート行動評価尺度とした（表1）．2）競技者アイデンティティーの測定項目競技者アイデンティティーの測定には1因子7項目の日本語版競技者アイデンティ7)ティー尺度を使用した．質問は，「私は自分のことを競技者だと思う」「私には，スポーツに関する目標がいくつもある」「スポーツは，私の生活の中で最も大切なものである」などの項目で構成される．尺度は「全く違う（1）」から「全くその通り（7）」までの7段階評定尺度である．3）スポーツ継続意図の測定項目競技スポーツにおけるスポーツ継続意図の測定には6項目1因子の日本語版スポーツ・8)コミットメント尺度を使用した．質問は，「あなたは，（あなたが行っているスポーツ）にどのくらい，打ち込んでいますか？」「あなたは，（あなたが行っているスポーツ）をこれからも，続けたいですか？」などの項目で構成される．尺度は，それぞれの質問項目に合わせ設定され，例えば，「あなたは，（あなたが行っているスポーツ）にどのくらい，打ち込んでいますか？」に対しては，「1：まったく打ち込んでいない」から「5：かなり打ち込んでいる」の5段階で回答を求めた．4．分析方法調査項目を精選したトップアスリート行動評価尺度について，尺度項目の内的一貫性検証のためクロンバックα係数を算出し，暫定的に設定した尺度構成を検証するため確認的因子分析を実施した．また，トップアスリートの行動とスポーツ実施者の競技スポーツ継表1トップアスリート行動評価項目因子および項目社会貢献行動出身地や故郷のために地域貢献している競技のみでなく，スポーツの普及・発展に貢献している競技以外での努力行動語学の習得などスポーツ以外のことにも努力している海外など異なる環境でも活躍できるよう順応する努力をしている競技での努力行動常に高いモチベーションを維持し自分の弱さや欠点を克服するため努力している年齢や体格などの生理的な限界に挑むための準備や練習を徹底的に行っている挑戦的行動一度は挫折するも再挑戦し続けることができるどんなに小さな可能性でもそれを信じて競技に取り組んでいるスポーツパーソンシップ試合に負けた時でも相手への敬意と称賛を行っている試合に勝った時，手放しで喜ぶだけでなく，相手への敬意をきちんと払っている感謝する心支えてくれている人への感謝の気持ちをきちんと伝えている試合や練習で使用する施設・用具などを大切に扱っている? 262 ?