ブックタイトル教育医学 J.Educ.Health Sci. 第63巻 第3号 通巻 第289号

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概要

教育医学 J.Educ.Health Sci. 第63巻 第3号 通巻 第289号

樋田小百合,小木曽加奈子,渡邊美幸人を超え65歳以上の高齢者の約5人に1人に達することが見込まれると示した.急速な高齢化に伴い,介護が必要となる認知症は大きな課題となっており,高齢者の医療,介護需要はピークに達することが予測されている.看護の対象となる高齢者において,健康の保持・増進や介護予防の観点から,疾患の有無に加え加齢性変化を考慮しながら,さまざまな健康レベルの高齢者に携わっていかなければならない.その中でも,認知症高齢患者をはじめとする要介護高齢者への看護介入が大きな比重を占めている.しかし,従来の看護教育における看護過程の展開は問題解決型思考で展開しており,認知症高齢患者の看護の展開をするうえで,認知機能の低下などマ6)イナス面に着目しすぎる傾向がある.北川は,疾病や急性増悪に伴う健康問題の解決を目指すとき,疾病という非日常状態からできるだけ早く患者を日常の生活に戻す過程に対して問題解決型思考は有効に機能するが,慢性疾患や障害による生活上の不具合に加え,老化を伴う高齢者であれば起きている「問題」を解決する困難さがあると述べている.また,2)青木は,もてる力の理解は,高齢者の残存機能の活用という段階にとどまらず,自分の人生を全うしようとする生き様,価値観や信念に伴う意思の強さ,思いやりなどの英知へと向かうと述べている.このように,高齢者のプラス面を引き出す目標志向型思考への転換は,高齢者看護にとって大切である.さらに,天木ら1)は,患者の強みを引き出す看護は,療養の場を選ばず認知症看護には重要な要素であると述べている.高齢者看護においては,患者の「できる可能性のあること」を見極め,働きかけていく必要があり16),もてる力を最大限に引き出す看護実践能力が臨地の看護師に求められる.そこで,本研究は,地域包括ケア病棟あるいは病床(以下,地域包括ケア病棟)で働く病棟看護師の認知症高齢患者のもてる力の活用の現状と課題についての基礎的資料を得ることを目的とした.Ⅱ.研究方法1.対象者と調査期間設立5年以上が経過した地域包括ケア病棟を有する3つの病院を対象とした.各施設に対して,3年以上看護師としての経験があり,かつ地域包括ケア病棟で勤務する看護師2名を看護部長に人選を依頼し,計6名を対象者とした.なお,調査は2016年6月から8月に行った.2.調査方法アクティヴ・インタビューにより,調査を行った.アクティヴ・インタビューは,あらかじめデザインされたある特定の質問群によって決定されているというよりはむしろ,インタビュアーが提示する話題の一覧や,インタビューの目的やインタビューの質問によって,ゆるやかなかたちで方向が定められ,第8回「アクティヴ・インタビューと〈社会構築主義〉(後編)」http://www.jma-net.com/1728より引用図1アクティヴ・インタビュー? 253 ?