ブックタイトル教育医学 J.Educ.Health Sci. 第63巻 第2号 通巻 第288号

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概要

教育医学 J.Educ.Health Sci. 第63巻 第2号 通巻 第288号

江藤和子,谷川尚己,戸塚智美い群が多くいることが分かった.小学生の飲酒防止教育は,小学生の保護者である両親,特に父親にも実施することが重要視された.従来の学校教育においても,薬物乱用に関するものでは,親への情報提供という形で,学校から薬物乱用に関するパンフレットなどが配布されている.しかし,両親に飲酒防止教育を確実に実施するには,中学生用飲酒防止教育プログラムのように,学校教育に導入すること.また,両親が一緒に小学生の飲酒防止教育を受けるには,情報技術を活用した方法が必要である.近年のインターネットの普及と,情報技術の向上によって,誰でも,いつでも,どこでも利用できるようになった.両親を巻き込んだ小学生の飲酒防止教育を行うためには,家庭で自由な時間に受講できるWebによるe-learningによる方法が不可欠と考えられる.年に搬送された人の中で10歳代と20歳代の占める割合は?3.9%と若い世代が過半数を占め1?),これらは,大学等でも問題とされるようになり,イッキ飲み防止の取組も広く行なわれるなど,マスコミからの報道による効果があるのではないかと考えられる.一方,【アルコールの長期にわたる多量飲酒の害】の『すい臓障害(すい炎・糖尿病)になることがある』は両親ともに?0%以下であった.これらは,長期にわたる多量飲酒の害のために,わかりにくいことが考えられる.身近な家族や友人の中に,アルコール依存症や膵臓病になった人と接する機会が少ないことによるものと思われる.そして知識があっても子供の身体に有害な行動を避けることができる行動につなげるためには,飲酒の害を自分のことのように実感がもてる飲酒防止の教育が重要と考えられる.2.小学生の子供を持つ両親の飲酒に関する知識について飲酒に関する知識では,『一度に大量の飲酒をすると急性アルコール中毒になる』『一気飲みをすると死亡することがある』かどうかの質問は,【アルコールの急性中毒死】を,『アルコールには依存性がある』かどうかの質問は,【アルコールの依存症】を問う質問である.『身体の成長を妨げて,性ホルモンのバランスを崩すことがある』『脳の機能低下(記憶力など)が現れる』『胃が悪くなる』『肝臓病(肝炎・肝硬変など)になることがある』.『すい臓障害(すい炎・糖尿病)になることがある』かどうかの質問は,【アルコールの長期にわたる多量飲酒の害】を問うものである.『アルコール依存症になると,人格障害になることがある』かどうかの質問は,【アルコール依存症】を問うものである.小学生の子供を持つ両親が,最も身体に影響すると考えられた知識は,【アルコールの急性中毒死】の『一度に大量の飲酒をすると急性アルコール中毒になる』が両親ともに90%以上と高かった.東京消防庁の急性アルコール中毒による救急搬送の統計調査では,平成223.小学生の子供を持つ親が自分の親から飲酒を勧められた経験及び自分の子供にお酒を勧めた経験について両親の飲酒状況と自分の親から飲酒を勧められた経験についての関連を見ると,両親ともに「要注意群」が親から飲酒を勧められた経験を多く持っていた.また,同じように,両親の飲酒状況と自分の子供に飲酒を勧めた経験についての関連を見た結果,両親ともに「要注意群」が子供にお酒を勧めた経験を多く持っていた.つまり,親の飲酒状況の中で,「要注意群」の親は,親からお酒を勧められ,自分の子供にもお酒を勧めていることになる.アルコール依存症は慢性疾患でもあり,予防することができる可能性がある.そこで個人が健康や病気の原因についてどのように考え,何を求めているかを把握することが重要である3).新KASTは,インターネットで,“はい”“いいえ”のいずれか当てはまるラジオボタンをチェックし,判定ボタンをクリックすれば,自動的に点数を計算し飲酒問題の有無を判定することができる.アルコール依存症の疑いがある場合は,専門医の受診の勧めや,「要注意群」は飲酒量を減らし,一定? 217 ?