ブックタイトル教育医学 J.Educ.Health Sci. 第63巻 第2号 通巻 第288号
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教育医学 J.Educ.Health Sci. 第63巻 第2号 通巻 第288号
重松良祐,森田松之助Ⅰ.緒言水泳の基本動作である「けのび」は,初心者から一流選手まで共通した能力評価基準として位置づけられている4).そのため,けの2)び動作の静止画の解析などによる改善方法の考案が試みられてきた.しかし,水泳は陸上での運動とは異なる環境でおこなわれるために指導の効率化が低下する傾向にある9).効率的な学習を考えた場合,実技に関する理論を自宅などの現場,つまりプール以外の場所で学習することも重要である.このようなことから仙石ら?)はコンピュータを用いた水泳学習プログラムを導入し,プール以外の場所での学習に一定の効果があることを報告している.近年では,水中ビデオカメラの価格低下とともに,動画ファイルの保存容量の増加,動画の画質の改善などによって,水中での動作を撮影して指導に用いることが容易になった.ただし現場以外の環境ではあまり活用されてこなかった.これは,動画が水中ビデオカメラや練習施設のパソコンなどに保存されるに留まるため,現場での指導に限られるという問題があったことによる.しかし,インターネットやコンピュータの発展に伴い,動画の共有や活用が容易になった.つまり,いつ・どこ・誰とでも動画を共有できるため,選手や保護者,指導者が一堂に会さなくても指導できたり,学習したりするという活用が可能になった.また最近では,インターネット上でのコミュニケーションにSocial NetworkingService(SNS)が使われるようになってきている.SNSはインターネット上で利用者同士が情報を共有したり,コミュニケーションを図ったりすることのできるサービスである.SNSによって,いつ・どこ・誰とでも,インターネット上で動画をさらに容易に共有・活用できるようになった.これは上述したような,指導場所の限定という問題を解決する可能性を有している.そこで本研究では水泳の基本動作である「けのび」を例にとり,動画を共有・活用するためのツールとしてSNSを用い,プール以外の場所でも個別に指導することで新しい水泳の指導法の効果と有用性を検討することとした.Ⅱ.方法1.対象者三重県津市の民間スイミングクラブの受講生である12?1?歳の男女8名(男子2名,女子?名)を対象にした.研究に先立ち,8名およびその保護者,スイミングクラブの指導者に研究の趣旨を説明し,参加への承諾を得た.性と年齢(12,13,14,1?歳)が等しくなるように対象者を介入群と対照群の2つ(4名ずつ)に分けた.2.介入インターネット上に動画を投稿するSNSにはFacebookを用いた(http://www.facebook.com/).本研究に関わる者のみのグループをFacebookに作り,グループ以外の人に内容を見られないようにした.Facebookには対象者の保護者が登録し,保護者の管理のもとで対象者が動画を再生・コメントできるようにした.筆者がメンバー登録などのグループ管理を担った.けのび動作の撮影には防水ケースに入れたスマートフォン(iPhone 4 S,Apple社製)を用いた.筆者は水深1.1mのプール1コースのスタート位置から? m離れた場所に潜って長座位姿勢を保ち,対象者の立位姿勢の時点から撮影を開始した.対象者には3コースで立位姿勢を保ってもらった後に壁を蹴ってスタートし,前に進まなくなるまでけのびを実施するように指示した.動画をもとに筆者がプールサイドで動作改善を個別に指導した.その後,動画をFacebookに投稿し共有した.これによって,介入群が自分自身や他の対象者のけのび動作を再生・コメントするとともに,指導者も指導できるようにした.筆者も対象者のコメントにフィードバックした(図1).また,オリンピック選手や動作? 205 ?