ブックタイトル教育医学 J.Educ.Health Sci. 第63巻 第2号 通巻 第288号

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概要

教育医学 J.Educ.Health Sci. 第63巻 第2号 通巻 第288号

佐藤文音,藤井啓介,辻大士,神藤隆志,北濃成樹,金美珍,堀田和司,大藏倫博表3サークル群,コントロール群における各パフォーマンステストの経時的変化ベースライン追跡調査Effect size Effect size(Cohen's d)†(Cohen's d)‡nMean±SDMean±SDベースラインv sサークル群v s追跡調査コントロール群開眼片足立ち時間,秒サークル群3045.7±21.244.7±21.50.05コントロール群3042.2±21.145.7±17.70.185回椅子立ち上がり時間,秒サークル群306.4±1.76.3±1.30.02コントロール群297.0±1.96.8±1.60.16Timed up and go,秒サークル群305.8±0.85.5±0.80.31交互作用P値時間による主効果P値0.27 0.301 0.5720.15 0.565 0.490時間による単純主効果P値コントロール群305.5±0.96.1±1.80.390.630.0060.0075m通常歩行時間,秒サークル群30 3.3±0.4 3.3±0.6 0.13コントロール群30 3.4±0.4 3.6±0.7 0.250.140.5850.168全身選択反応時間,ミリ秒サークル群29 997±80 984±98 0.14コントロール群30 990±77 1010±112 0.200.4210.1120.749SD: standard deviation(ベースラインの平均値-追跡調査の平均値)†Cohen’s d =ベースラインの標準偏差2 2-追跡調査の標準偏差2‡Cohen’s d =(サークル群の変化量の平均値-コントロール群の変化量の平均値)サークル群の変化量の標準偏差2 2+コントロール群の変化量の標準偏差2変化量=ベースラインの測定値?追跡調査の測定値∫追跡調査時の群間比較0.211群による単純主効果∫P値0.140Ⅳ.考察本研究は,高齢ボランティアが運営する運動サークルのうち,SSEサークルへの約1年間の参加が地域在住女性高齢者の下肢機能に及ぼす影響を検討した.その結果,サークル群のTUGの値に有意な変化が認められなかったものの,コントロール群では有意に遅くなることが明らかになった.追跡調査時のTUGの値に有意な群間差は認められなかったが,TUGを用いて評価した起居移動動作能力は,サークル参加によって維持することが示唆された.21)2?)TUGは転倒発生や日常生活動作の低下を予測するパフォーマンステストである.先行研究より,日本人女性高齢者において,TUGの値は?0歳以降に大きく遅延すると報告されている11).本研究におけるコントロール群の年齢は?1.7±4.6歳だったことから,先行研究に示されているような加齢に伴う起居移動動作能力の低下がみられたと考えられる.一方,サークル群の年齢も同程度であったにも関わらず,TUGの値に有意な遅延は認められなかった.先行研究において,高齢者が複雑な重心移動や歩行動作を含むSSEを実践することでTUGが維持,向上すると報告されている12,2?).このことから,サークル群は約1年間SSEを継続実践したため,加齢による起居移動動作能力の低下が抑制されたと推測される.一方で,サークル群は,ベースライン調査までに1.8±1.1ヵ月間SSEを実践していた.従って,ベースライン調査時にはSSE実践による効果をすでに得ており,追跡期間内の有意な向上が確認されなかったのかもしれない.本研究の結果はサークルの効果を過小評価している可能性があるため,今後はサークル入会直後に調査を実施する必要がある.また,本研究の高齢ボランティアは,「高齢ボランティア養成講習会」において,SSE,準備・整理運動,レクリエーションの指導法を学び,これらをサークルで実施した.従って,追跡期間中の指導内容に変化はなく,運動強度も一定だったために,サークル群の下肢機? 191 ?