ブックタイトル教育医学 J.Educ.Health Sci.　第63巻　第2号　通巻 第288号

概要

教育医学 J.Educ.Health Sci.　第63巻　第2号　通巻 第288号

鷲見克典表4統制的調整と自律的調整を個別に独立変数とした階層的重回帰分析結果（N=206）式独立変数βR 2⊿R 2F（⊿R 2）従属変数：学習満足感（Step 1のR 2 = 0.761）1外的調整-0.22 **0.8130.0528.09 **取り入れ的調整-0.032同一化的調整0.17 **0.8770.1295.25 **内発的調整0.23 **従属変数：学習努力感（Step 1のR 2 = 0.825)3外的調整-0.17 **0.8630.0428.01 **取り入れ的調整-0.054同一化的調整0.15 **0.9070.0889.05 **内発的調整0.19 **従属変数：学習自己効力感（Step 1のR 2 = 0.808）5外的調整-0.18 **0.8550.0532.78 **取り入れ的調整-0.08 **6同一化的調整0.12 **0.8720.0650.50 **内発的調整0.18 **従属変数：学習自己実現感（Step 1のR 2 = 0.716）7外的調整-0.21 **0.7790.0628.79 **取り入れ的調整-0.08 *8同一化的調整0.17 **0.8370.1274.98 **内発的調整0.24 **従属変数：学習不安（Step 1のR 2 = 0.847）9外的調整0.19 **0.8860.0434.55 **取り入れ的調整0.0210同一化的調整-0.11 **0.9080.0666.97 **内発的調整-0.17 **従属変数：自尊感情（Step 1のR 2 = 0.748）11外的調整-0.09 *0.7570.013.74 *取り入れ的調整-0.09 *12同一化的調整0.09 *0.7620.015.94 **内発的調整0.15 ***p<0.05，**p<0.01．従属変数とした学習関連適応感のTime 1における得点を独立変数として回帰式に投入（Step 1）後，統制的調整スタイルと自律的調整スタイルのそれぞれを一括投入（Step 2）した結果．⊿R 2はStep 2における，Step 1からのR 2増加量．有意であったが，自尊感情に対する増加量は統制的調整と自律的調整共にわずかであった（いずれも0.01）．偏回帰係数もほとんどが有意であったが，学習満足感，学習努力感，学習不安に対する取り入れ的調整のみ有意ではなかった．有意な偏回帰係数の符号は仮説のとおりであり，学習不安以外に対して，統制的調整は負，自律的調整は正であり，学習不安に対してはその反対の組み合わせであった．4）外発的動機づけに対応した調整スタイル最後に，内発的動機づけと比較対照される外発的動機づけに該当する3つの調整スタイルの効果を確認するために，それらを独立変数とした結果を表?に示した．これまでの結果と同様に，決定係数の増加量はすべて有意であったが，自尊感情に対しては小規模であった（0.01）．偏回帰係数もほとんどが有意であった．一方で，学習満足感と学習不安に対して，取り入れ的調整は有意でなく，自尊感情に対して，同一化的調整が有意ではなかった．有意な偏回帰係数については，仮説と一致した符号が認められた．Ⅳ．考察本研究では，学習関連適応感に対する学習動機づけの効果の検討を目的として，大学生から得られた縦断データの分析をおこなった．学習動機づけの理解とその効果について? 181 ?