ブックタイトル教育医学 J.Educ.Health Sci. 第63巻 第2号 通巻 第288号

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概要

教育医学 J.Educ.Health Sci. 第63巻 第2号 通巻 第288号

学習動機づけが後の学習結果に及ぼす効果:大学生を対象とした自己決定理論に基づく検討り,無調整から内発的調整まで,統合的調整を除いた?つの調整スタイルを評定する下位尺度によって構成される.統合的調整が除かれた理由は,操作化の結果,同一化的調整と弁別しづらく20),これまでの研究で尺度化が避けられてきたためであった4,1?).適度な信頼性と妥当性が認められている1?).2)学習関連適応感学習に対する満足感,努力感,自己効力感,1?)自己実現感,不安のそれぞれを測定する尺度は,いずれも?件法で評定を求める3項目によって構成されるものであった.尺度項目の内容は,学習満足感尺度が学習の満足感,充実感,学習内容と期待の一致,学習努力感尺度が学習への努力感,消費した時間と労力,他者以上の努力の傾注,学習自己効力感尺度が努力による習得の可能性,習得能力の保有,積極的な習得の可能性,学習自己実現感尺度が学習による成長,学習における能力の発揮,自身の可能性の実現感,学習不安尺度が学習におけるストレス,苦悩,習得の不安であった.いずれの尺度も信頼性と妥当性が支持されている1?).12,22)自尊感情は自尊感情尺度日本語版によって測定された.「自分に対して,肯定的である」をはじめとする10項目の尺度である.自分自身を尊重し,その価値を認める意味で,自分を「これでよい(good enough)」と感じる程度について,?件法により回答が求められる.信頼性と妥当性は良好である21).3.分析方法学習動機づけが後の学習関連適応感に及ぼす効果の検討には,階層的重回帰分析が用いられた.この分析によって,Time 1の学習動機づけがTime 2の学習関連適応感に及ぼす効果について,Time 1の学習関連適応感を統制して確認することが可能である.従属変数はTime 2における学習関連適応感の個々の側面であった.まず,Time 1における従属変数と同じ学習関連適応感の側面を独立変数として回帰式に投入し(Step 1),次にTime 1での学習動機づけを追加投入した(Step 2).学習動機づけの効果は標準化回帰係数とStep 1からStep 2における決定係数の増加量によって評価された.Ⅲ.結果使用した尺度の平均値,標準偏差,信頼性係数αをTime 1とTime 2の別にまとめたものが表1である.内的整合性信頼性は尺度すべてで適切であった.また表1には,学習関表1尺度の平均値,標準偏差,信頼性係数α(N=206)調査機会尺度平均値標準偏差α係数rTime 1学習動機づけ無調整4.662.210.86-外的調整6.822.660.75-取り入れ的調整7.062.420.73-同一化的調整11.202.100.87-内発的調整12.542.940.80-学習関連適応感学習満足感9.282.420.79-学習努力感8.842.780.85-学習自己効力感10.422.250.84-学習自己実現感10.452.150.83-学習不安9.253.030.86-自尊感情33.777.420.78-Time 2学習関連適応感学習満足感9.162.370.840.87学習努力感8.732.840.850.91学習自己効力感10.382.700.790.90学習自己実現感10.322.240.810.85学習不安9.303.020.840.92自尊感情34.317.790.850.86rは2回の調査における得点間の相関係数であり,すべて1%有意.? 178 ?